損得勘定との距離感。

お久しぶりの更新です!
本当に久しぶり…半年以上ぶりの更新になりますか。毎日更新を確か7年も続けていたのもだいぶ昔の話(笑)。
流石にここの更新に気付く人もそうそう居なくなったところで、誰に向けてなのかふと今の状況や心情をざっと書いておこうかなと思いました。

新型コロナウイルスの流行拡大からこちら、それまでは有難い話(思い返すと、それ以前からしたら驚くような)右肩上がりを数年続けていたボードゲーム商業だったのですが、一気にブレーキがかかりまして、弊社も特にこの1年余りは(差し当たり売上利益的な意味に限定しても)なかなか厳しい状況が続いています。今日明日動けない、駄目だ―!とまではギリギリ行っていないわけでございますが、これは恵まれているのか、それともコロナ状況への適応ができていないままということなのか(笑)。この状況でも全然行けてる会社さんもあれば、ウチなどまだまだ贅沢な範囲、というような苦境に置かれている会社さんもあるかもしれない…とは想像しているのですけどね。でも「実はコロナ以降むしろ調子良い」みたいな話はなかなか聞かないので、やっぱり全体には厳しいのかなあ(この状況下では好調でもなかなかそれは公言しにくいか)。

状況の厳しさは、この状況下で集まってボードゲームを遊ぶことに及び腰になるとか、社会不安、生活先行き不安で自分の趣味に費やすお金が、実情としてもそうですがそれ以上に皆様の意識的にどうしてもセーブされる…といった事など多岐に渡るとは思うのですが、ボードゲーム出版社にとって中でも直接に痛いのはやはり、昨今の急激な円安でしょう。少なくともNGOはそうです。弊社の製造は、正確な数字は今出してないですが体感7割以上はドル支払いです(あとはユーロ払いと国内製造の円払い)。数か月前までの感覚では、ドル110円ちょい…割とドル100円の時間続いたけど110円になってしまったな~…位だったのですが、2022年に入ってから115円に差し掛かると3月からグーンと来てただ今136~137円。…製造費用が20~25%アップとなりました。これは…そうそうゲームの生産なんぞできません(笑)。少なくとも何らかの特別な策が必要。薄利でゲームを出版しているようなモデルの会社さんなら、「見込んでいた利益が円安で全部ぶっ飛びました」くらい起こりそうな変動です。

円安はもう世界経済の潮流ということですから、ボードゲーム出版と言う仕事においても何らかの形で対応していくしか無いわけなのですが。この円安以前から私は「国内のボードゲームのタイトル供給過多」に問題を感じていましたので(ボードゲームを生産販売する会社としては、満足な売上・利益を得るということを念頭に置きますと簡単では無いのですが)新製品のリリースのペースは落として、NGOのロングセラーのゲームの再生産は計画的に…という割と大人めいた方針で来ていました。状況が悪い時は無闇に動かず、でもどうしてもで動く部分ではとにかく効果性を重視して行きましょうということです。この状況下でもゲームを出そうという事であれば、以前以上のパワー、魅力、価値がある物を作ろうね…というとシンプルな話ですが。言うは易しですね(笑)。頼まれても無いような物を自分の都合で作ってるんじゃなく、出して見せた時に「え、こういうの欲しかったー!ありがとー!!」って言ってもらえたら、この地合いでも浮かぶ目はあるかもしれません。

ずっと言っていることですが、NGOとしては、今後もボードゲームの日本語版の供給者としては当面居残るつもりです…さて商業的に居残れるのだろうか、という大きな問題はありますが(笑)。いくつかのロングセラーのゲームは有難いお話、意外にも売れ行きは下がっていないので、これを柱にしながら、できたら柱を一本でも増やすチャレンジをしながら、商業的柱にはなり得ないんだけど価値あるよね、意義あるよね、これNGOしかやらんよねという辺りはフレキシブルにやってしまう余地を作っていきたい所です。コロナたいへんだけどね。戦争、円安、たいへんだけどね。でもコロナ来なくても、国内のボードゲーム商業状況って遅かれ早かれ似たような感じにはなったとも思うんですよね。右肩上がりの人生なんてそう続きゃしないさ、と。そのゲーム要る?その出版要る?みたいなものにあふれ返って狭苦しくなってしまいましたが、自分達としては自分達が要ると思う物はこれですよーというのをお届けしていけたら…良いなあ。

ええ、損得勘定の…という題はですね。「お金稼がなければいけないから、問題があるのは承知しつつもこうするしか無いんですよ~」的な。「生きねばならないんですよ~」「家族養わねば行かんのですよ~」とか。厳しい時代だからもうお互い、個々の損得勘定とかは強めに出てきて目に余る気がしても、許し合っていくしかないんだよね~という空気ありますよね~という。シンプルに、衣食足りて礼節を知るみたいな話はちょっと後ろにやろう。そういうこと言う人が居れば「あなたは余裕がある場所を確保しているからそういうきれいごとが言えるのです!」という。…ずーっと最初から言ってるけど、ボードゲームなんて最初から儲からなかったし、この10年とかで何だか消去法的にチビチビ利益が出るようになったからって後から安易に寄り付いておいてから泣き言は無しで行こう。そんな一般論を振りかざして好きだったはずのボードゲームを良くない形で自分の飯のタネにするのは止めよう。…と、厳しい時代ですので、何より自分に明文化して突き付けておこうと思います(笑)。利益を生み出す工夫や苦心は大事だけど、「そもそも何目的だったんだそれは」と紙一重だな、と痛感する所ですので。