ボツワナ22年版振り返りをきっかけに、ゲーム制作の要点のお話。その9。

結局年明けてしまいました(笑)。2024年まで跨ぎましたが、ボツワナの制作の話、締めに向かって書いてまいりましょう。

ゲーム中参加者全員が常に得点状況や形勢を意識したうえで手番を行ってくれたら嬉しい、全員が形勢を把握した上でのボツワナの攻防をしているというコンセンサスを持ったうえでのゲームプレイ実現に寄与したい、という意図から22年版から得点ボードを導入しました、というのが前回までのお話でした。それが大きな部分なのですが、実際に製品に入ったボードを見てみるといくつかご説明する点がありますね。

・二つ折り・横長・コマ置き場とカード置き場を規定し区切っている
・ボードの裏を説明書にし、プレイヤー人数分の早見表をカードに含めた
・何点まで表示できるようにするべきなのか?
・ラウンドをツアーと呼ぶことにし、それを表示するマス目に車を描いた

まず、最終的に製品に入ったのは二つ折りボードだったのですが、これは最初からすんなりと決まった形ではありませんでした。得点表示の件がありボード…かコスト的に無理ならもしからしたらシート…は入れたいなあと思いながら後回しにしていたのですが、その時考えていたのは「四つ折り」で「動物コマが置けるサファリのビジュアル」に「外周に得点トラック」、加えて「自動車型のプレイヤーコマ」だったのです。gooさんにラフを描いていただいたりもしたのですがバッチリとは決まらず、加えてやはりコストも全然合わない(動物コマがかなりのコストを持っていく)ということがはっきりしてきました。「得点表示は不可欠」というのは私の前提でしたから、ここで「ボードはあきらめて紙製の得点チップのようなもので表示を行う」という案も検討しました。しかしそれでもやはり追加コストはかかるのですね。あと打ち抜きチップは品質管理もそれなりにデリケートで、導入すると不良品リスクは上がります。これはいよいよどうするか…と考えているところで、西さんから国内近場でできる厚紙加工の新しい業者さんを見つけたよ~という話を思い出しました。これは打ち抜きチップというよりある程度低コストにボードに近い厚紙を作れる適正ありそう、というような話をしていたことを思い出し、本格的なボードとまではせずに程よい厚紙を折ってもらい簡易なボードとすれば良いのではないかという発想に至りました。ぺらっとした紙よりは良いし、本式のボードほどごつくもならなければ小箱にも納めやすいだろうということです。早速サンプルを作ってもらった所想像以上に品質良いものをお見せいただき、気持ち良く採用することになりました。

この採用に伴い決定したのが「二つ折り」ボードにすることと、「裏面をルール説明書にする」という点でした。二つ折りにする、というよりこちらの業者さんですんなりとお願いできるのが二つ折りだったからというのもあるのですが、二つ折りボードと四つ折りボード、製造上のことを言うとコストで言ってもリスクで言っても二つ折りの方が格段イージーです。地味な話ですが「開いたとき気持ち良く平坦になるか?」というのがボードの重要なポイントで、普段すんなり平坦になってくれている限りほぼ意識しないのですが、平坦になりきらずボードの半分が浮いたりするものに出会うと途端にイマイチに感じるものなはずです。四つ折りより二つ折りの方が作りやすいしコストも安いし平坦にし易い。ネックは当然ながらボードの面積が半分しか確保できないということで、2枚入れるかボードの中身を半分にするか?という考えに向かうわけですが、今回は後者に向かいました。ボード上の面積をほぼ得点トラックに割り振ると共に二面を細長くなるように横長に繋げ、テーブルの領域をボードで区切るようにして片側をコマの置き場、もう片側をカードの置き場として規定すると良いのでは?と考えました。これは当初の四つ折りボード上に動物コマ置き場、とした時、万一ボードが平坦にならず浮くようなことがあったときその上に置いた動物が倒れまくる…といった問題を引き起こすのを避けられもするなあ、と考えたのが主な理由です。加えてですが細長ボードで領域を分ける、という形式を取っているゲームにはそれなりの見覚えもありました(同じくクニツィア作の『ロストシティ』なんかそうですね)。私は卓上が雑然とした結果情報把握が面倒になり、それが要因でプレイヤー間に情報格差が生まれてゲームの勝敗に影響してしまうというのは好きではありません。ただだからと言ってあまり厳格にプレイ上のマナーを決めてプレイヤーに守らせる、というのも好ましいとは思わず(非現実的だし)、結果として「ある程度気を使いつつルールを守って自然に使ってもらったら概ね上手くいく」という設計になっていれば良いな、という位で考えています。結果ボードの長辺上側には「こちら側に動物コマを置いてください」、下側には「カードを動物ごとに並べてください」という表示を加えています。特に動物コマについては、人によっては「個数とかちょっと見ればわかるしぐちゃっと置けば良いでしょ」というように考えると思うのですが、自分としては「動物ごとに分けて置いていただきたい」ということでルールにもそう書いているのと、あと早見表カードの裏に示した配置図もそれを示唆しています。些細なことでゲームプレイの面白さは損なわれるかもしれないので、少しの手間でやれることはやっておこう、やっていただこうということです。蛇足ですが、各種カードの置き場所を表す矢印も、気持ち広めに印しています。これは誰も彼も出したカードを「ぴしっ!」と一列には並べないだろうから、ちょっとラフに一列になってればOK、という間隔で、ということです。

そう、早見表カード。これの導入は、「得点ボードの裏側にルールを掲載してしまおう」と決めたのと合わせてのことでした。ご存じの通りボツワナのルールは短いので、二つ折りのボードの裏の2ページ分で十分掲載可能です。厚紙ボードの片面が空いているとなり、ここにルールを載せれば説明書の印刷/封入の手間は省けて良いな、と思いウキウキと採用したのですが、そこで浮上したいささかの懸念点が「ボードを置いて上にコマを置くと、ゲーム中ルールを参照できないね?」ということでした。きわめてシンプルなルールですから、大丈夫じゃないかな?とも思ったのですが、不安だと思われるのもなんだな…と考えた結果、プレイヤー人数分の5枚の早見表カードを入れよう、という形に落ち着きました。カードを5枚増やしても元の30枚という枚数上ほとんどコスト差無し、と西山から聞いたことも要因です。

というところで次のポイント、得点ボードは何点まで表示できるようにすべきなのか?という点。正直言って、このゲームって最大何点くらいまで入るものなのか?というのは…私もはっきりとはわかってないです。参考にカルカッソンヌを考えると、確か50点までトラックに表示されていて、50を超えると50と記されたマーカーをもらって0に戻って二周目、という形だったはずです。50点マーカーを用意するのが手間もコストも余分にかかる、とすれば一周で問題ないマス目がトラックを書いておきたいな、というところで「1~100」あるいは「0~99」の100マス、20マス×5列にしよう…と、実際にボード、コマ、マス目の寸法を測りながら決めました。「0~99」を採用したのは、ゲーム開始時にボード上にプレイヤーコマを各自1個置いてもらう、というルール説明を円滑に進めるためのことです。マス目を1から始めるとプレイヤーコマの初期位置はボードの外になり、わずかですが「これが得点の表示を表しますよ」という示唆から遠ざかっているかな?とか考えていました。

最後にラウンドトラックと、そのラウンドを「ツアー」と呼ぶことにしたお話。ツアーと呼ぶの良くないですか?というのは、イラストをお願いしたgooさんからのご提案でした。確かに!最小限の変更で結構雰囲気が出て良い気もする。ということで採用させていただきました。もちろん無難に「ラウンド」としておいた方が良いという話もあります。こういう「ラウンド→ツアー」みたいな独自の用語採用を十重二十重に行うと、ゲーム中の用語が何が何やらよくわからなくなり遊びづらいとか、結果みんなラウンドとか慣れた用語で呼び出して台無し、とかあるあるなわけですが。ただこのボツワナに関しては用語も少ないし、これくらいの変更でフレーバーを加えてあげた方が良いかもしれない、という判断になりました。プレイヤーがサファリツアーに出ていることを表すため得点マーカーを自動車の形にしようか?ということを検討しつつ結局コスト上の問題で諦め円形マーカー採用になったこともあり、ラウンドトラックのマス目に自動車を描いてもらったのとこのツアーという呼称採用は、ささやかではありますが効いているのではないかと思っています。

…とまあ、色々書いてきましたがこんな感じですかね!ボツワナ、再版したとてはたしてどうなのだろう、と結構用心して22年版をリリースしたのですが、幸いにも1年で初版分は完売してくれ、むしろ品切れ中の今は少なからずバックオーダーがかかっていてお待たせしている状況です。有難い!一生懸命作ったし自分たちなりには結構上手くできたのではないか、という手ごたえもありますので、これが今後ロングセラーになっていってくれたらホント嬉しいなと思っております。春頃には再入荷しますので、ぜひ改めてボツワナ、よろしくお願いいたします。