「コヨーテ」オンライン版をココフォリアで発売しました。

先日Xでお伝えした通り、オンラインセッションツールのCCFOLIA(ココフォリア)のストアで、ココフォリア上でコヨーテを遊ぶための「ルームデータ版」を発売しました。

https://ccfolia.com/
https://ccfolia.com/games/hx885wyTZRvMMuaQP30E

価格は物理版と同じく税込1870円です。ニューゲームズオーダーとしては初の試みですが、ココフォリアさんよりオファーをいただき、色々なご説明を受け「せっかくの機会、ここは新しいフィールドにニューゲームズオーダーのゲームを打ち出させていただこう」と着手致しました。今後どうなっていくかは未定ですが、気持ちとしてはコヨーテは第一弾という位置づけです。

ココフォリアさんというと、聞けばTRPGのオンラインセッションのプラットフォームとしては莫大な会員数、アクティブユーザーがいらっしゃるとのことで(私もだいぶ昔はTRPGをやってましたがオンラインでは遊んだことはなく、全く明るくありません)、さらに聞けばその過半数が女性プレイヤーとのこと。今回オファーをいただいたココフォリアの担当者の方に一連の説明を受けた時点で私の古い常識は完全に覆りました。

現在国内のボードゲームパブリッシャーの中でも、ニューゲームズオーダーは一面的に有数の「原始的な」会社(色々な点で変わらない、変えない会社)であることは自覚していまして、そして反面それは売りでもあると考え、改める予定も無く15年以上(本当におおもとから遡ると30年とか)やってきました。ただ全ての出版タイトルでとは行かないものの、いくつかのゲームは万単位の部数をこれまでに出荷してきておりますから、それはつまり「どう考えても自分たちが知らない範囲、遠く遠くにまでリリースしたゲームは届いている、届くようになった」ということは(実相としてどういう感じなのかわからないままではあるものの)理解はしている所です。

私自身はオンラインでボードゲームを遊んだことは無いので、さてオンラインでボードゲームを遊んでどういうことになるのか?面白いのか?ということについては、正直存じ上げません。ドイツボードゲームは対面してこそではないのかな、というのが起点のポジションではありました。対面して遊び競ってこそ生じる独特の面白さこそドイツボードゲームの魅力の根幹ではないかという。

ですから、オンラインで、ココフォリアで遊ぶボードゲームは、対面して遊ぶそれらとは、また異なるアクティビティではあるのだろうとは、依然思っています。一方現実として、ココフォリアというプラットフォームがあるからこそ制約や問題(空間や時間、はたまた人間関係ですとか)を乗り越えてロールプレイングゲームがプレイできている、生活の中に実際に組み込めて楽しめている、という方々が沢山(本当に自分の常識からすると莫大な人数です)いらっしゃるというお話を担当者の泉川さんから伺った時、「これは根本的に考え直した方が良いな」と思いました。そもそも何千何万部という単位でボードゲームを販売していく時、それはオンラインでなくオフラインであろうとも、自分達が思い描くゲームが売っていった先々全てで生じているわけでは無い、まず間違いなく、ということは、ずっと承知の上でというか覚悟の上で、「いやそれでも出していこう」とやってきたわけですので。自分達の思い描く「こういうドイツゲームを、こんな感じで遊んでもらえたら最高なんだけどな」という感覚と、現実には距離感はあり、その上で、その距離を近づけられたらと思って一つ一つゲームを出してきました。ですから、ココフォリアで私たちがゲームを出すことが、その距離をまた異なる方法で近づけることに繋がるのであれば、私たちのゲームがまた新たな領域で役に立つのであれば、それはアリだなと、今新たにそう思って発売させていただきました。

第一弾を「コヨーテ」で、というのは、第一には勿論ココフォリアさんからの指名、というのもありましたが、私の想像の中でも、ココフォリアのプラットフォーム上、プレイ環境を考えても最適のゲームの一つだろうと思えたのは大きいことでした。リリースタイトルを選ぶ上で、オフラインで遊ぶのとは別に、オンラインで遊ぶのに向いているかどうか?というのは確実に重要で、都度慎重に考えなければいけないだろうと思っています。

…オンラインでリリースする契約上の許可が下りるかとか、契約条件がどうかとか、さて出したとして売れるかとか、そういうハードルも多々存在するのですけどね。考えている中でも既に「出したいんだけど無理そう」なゲームもあれば、「出せるんだけど出すべきなのか怪しい」ゲームもある。ただ商業的な都合だけで出していって、いざ買って遊んでみたらオンラインではいまいちだった、何なら満足に遊べなかったという事だけにはならないようにせねばと思っております。コヨーテは、お互いの表情見えてなくてどうか?と思ったのですが(人によってはお互いの顔は別アプリで表示してココフォリアと併用で遊んでいる、といった場合もあるのかもしれませんが)、ココフォリアの利用では一般的と聞いたボイスチャット併用ベースでもコヨーテは行けそうな気がする、という結論でリリースしています(テキストチャットだけだとどうなのか、いやそれでも行けるのか、そこは不明ですが)。オフラインとは別のゲームになる、ということはそれは勿論あり得るのですけど「これはこれで面白い」「これはこれでこういうコヨーテ」となるならそれはやっぱりアリだなと思いますので、そうなれば良いなと願いつつ、好評を願いつつ、次にココフォリアに向いていると思われるゲームの選定をしていきたいと思っております。ゆくゆくは「ココフォリアはドイツボードゲームを遊ぶのにも良いよね」という状況に持っていければ良いなと思いますし、そこで知っていただいたタイトルが物理版の認知と売り上げの拡大にも繋がっていったら理想です。今の所皮算用かもしれませんが、思うにココフォリアに向いている可能性の高い(ルールが短い、プレイ時間が短い、コンポーネントがシンプルで表示がしやすい、面白いゲーム、便利なゲーム)をニューゲームズオーダーが数多く担当しているという自負はありますので、物理版リリースと並行して、考えてまいります。既にココフォリアを活用されているプレイヤーの皆様も、「知らなかったけどこの機会にココフォリアインストールしてみようかな」という皆様も(有料会員の枠組みもありますが利用自体は無料でも可能だそうです)、よろしくお願いいたします。

キャント・ストップ2026年版リリースについて、振り返りと評価。

さて、夏も盛りの8月となり気付かないうちに行った仕事が過去になっておりますが、先日リリースさせていただいた「キャント・ストップ2026年版」についてのお話をここでしておりませんでしたね(YouTube配信で大方話したのでそれで済んだ気持ちになっていた)。まあニューゲームズオーダーでのキャント・ストップの取り扱い自体は長く、かれこれ10年以上担当しているので、今回のも外から見るとアップデートくらいのお話ですが。しかし一応自分としてはこの2026年になってようやく一つ、落ち着ける形を作れたかなという気がしています。

ご存じの方も多いとは思いますが、今回のバージョンのアートワーク(ママダユースケ氏のものです)は、我々としては「2個前」のバージョン(2016年版)を基本としています。ニューゲームズオーダーとしての初めてのオリジナルのキャント・ストップ出版だったものですね。ただ今回と異なり、2016年版のボードは布。箱は横長で、ニューゲームズオーダー創業当時の標準サイズでした。改版するたびに多くのタイトルをさらに小型化していったため、今となっては現行で踏襲しているタイトルが減ってきているのですが…セネターズ等のサイズですね。当時はこのサイズでも大幅な小型版キャント・ストップで、最大の特徴としては、国内で作った布製ボードを採用していました。布ボードは箱に収めるには非常に優秀ながらいささかコスト高ではあったのですが…それでも「今までと異なるキャント・ストップ」というアピールをする上でも「布は布で良いな」と感じていただけるのではないか?と当時チャレンジしてみた仕様でしたね。国内でのスピーディな生産を念頭としており、ボードゲームではよくある四つ折りボードを国内で安価に作るのが難しい、ということから選んだという側面もありました。

この2016年版キャント・ストップの在庫が何度目かの品切れをし、権利元のfranjos社にまた増産させてもらいたい旨連絡した所、先方から「次はfranjosが欧州での生産をやめ中国生産でキャント・ストップを作るので、その生産に一緒に乗って欲しい」との要請がありました。結構侃々諤々と交渉したのですが結果としては同意し、2023年にfranjos生産による日本語版をリリースしました。青い箱のもの。作りとしてはベーシックな四つ折りボードとコマ、ダイスのバージョンでしたが、私としては2016年版を好調に売り続けられていただけに、「これがきっかけで売上が落ちたらいやだなあ…」という危惧は小さくありませんでした。ただfranjos版にはプラスポイントもあって、一つにはしっかりと小さめの正方形箱になっていたこと。もう一つは価格が2700円と、2016年版の3500円よりさらに下げることが可能になった点でした。元々思い入れも手応えもあったアートワークを捨てて、より高価格なバージョンへ移行だとだいぶ辛い、というか同意できなかったでしょうが、「それなら」と権利元の事情を受け入れた次第です。ここでキャント・ストップを手放してしまうのがよりマズい事態に繋がることもあるよな、という判断もありました。

そしてこの2023年版在庫を完売でき、さて増産…ということになったのですが、元々franjos社は各国語版を同時生産するタイミングで彼らのバージョンを生産するメリットを試したかったということなので、こちらの増産とタイミングが合うわけもなく(多言語版生産あるあるですが)、気が済んだのか…という言い方をするとなんですが、次の日本語版増産については生産のイニシアチブを再びニューゲームズオーダーに戻すことに同意してくれました。ということで今回の2026年版リリースに至ったという事です。この3年間の間の社内外の状況の変化、最新状況への対応として近年蓄積したノウハウを反映してこのバージョンを作れた、とある程度の手ごたえを持っております。

前述の通りママダユースケ氏のアートワークを復活させる、というのは最初に決めた訳ですが、仕様については、ドラダ以来進めてきた近年のニューゲームズオーダー仕様を採用し2016年版をアップデートしました。一つには箱サイズで、これはドラダ箱の長辺を一辺とした正方形箱にし、厚さもドラダと同じ。ボードについては四分割のパズルボードにして、2016年版の布ボードとほぼ同じ盤面を作りました。コマも2016年版と同じサイズですが、カラーについては調整し、よりアートワークに合うようにしました。沢田にも「思った以上に箱薄いねえ」と言われたのですが、結果的にはこの仕様もご支持いただけたようで、現在好調な売れ行きを達成できております。「やっぱり名作キャント・ストップ、とにかく根強い」というのが第一の感想ではありますが。この仕様と箱の薄さ(体積の小ささ)で、2023年版と同じ2700円での販売を可能にできたのが、何より良かったことかなと思います。この時点の改版で再び3500円になるのは販売上も難しくなる可能性があると思っていたので、「さらりと2700円を維持する」というのが一番頑張った部分ですね。

と、以上の通りです。お陰様でニューゲームズオーダーのここ数年の小箱名作ラインナップに一つ、頼もしい仲間が加わりましたよということで、キャント・ストップ2026年版、引き続きよろしくお願いいたします。